「知らない人についていってはいけない。」

「知らない人についていってはいけない。」

僕たちは小学校時代、

自分の身を守るための授業と称して ことあるごとに

この教訓を刷り込まされた。

しかし年月が経つと共に

この教訓への認識が薄まり、

自らの力を過信して、

知らないサークルの先輩についていったり、

知らない人の車に乗るヒッチハイクといった

小学校時代には考えられなかった

暴挙を繰り返すようになってしまった。

こんなことを言っている僕も

ヒッチハイクをして

自らの行動力をアピールする

大学生たちに感化され

幾度となく危険なヒッチハイクを繰り返した。

そしてこうしたヒッチハイクが成功に終わるたびに、

冒頭に述べた「知らない人についていってはいけない」

という教訓を忘れていくようになった。

しかし先日台湾で

この「知らない人についていってはいけない」

という教訓を痛感させられる事件が起きた。

事件の顛末はこうだ。

「先輩 バスケしませんか?」

前日に僕をクラブに誘ってくれた

例の1年生たち

またも気分が軽くなるようなノリ良い口調で誘ってくれた。

彼の話によると

彼がクラブで仲良くなった台湾人が

僕たちとバスケがしたいらしく、

バスケができる場所に案内してくれるとのことらしい。

僕は学生時代バスケ部に所属していたものも、

半年前に本ブログのリンクをグループラインに貼って

バスケサークルを退会して以降は

すっかりバスケからも離れ、運動不足になっていた。

研修も中盤に入り、

生活がマンネリ化し始めてきていたのもあり、

僕は迷わずこの誘いに乗った。

そして迎えた当日。

指定された駅に1年生たちと共に待っていると、

例の台湾人がやって来た。

彼は僕には目もくれず、

1年生たちにべったりとくっつき、

あまり聞かれたくない内容なのか

僕とは距離をとり、

英語でやり取りをしていた。

とにかくいまは彼についていくしか

方法はないので、

しばらくついていくと

周りの雰囲気が

明らかにバスケットコートなど無さそうな

ジャングル地帯に変わっていった。

(写真をとり忘れたのでグーグルマップから)

もしかしてこの台湾人はバスケができるという口実で

純粋な日本人留学生をジャングルの奥地に連れ出し、

誘拐してどこか別の場所に売り飛ばそうとしてるのではないか。

もはやバスケどころではない。

僕は不安で胸が押し潰されそうになり、

どのタイミングで逃げ出そうか

ずっと考えていた。

僕がこうして強い恐怖を感じていると、

目の前にラブホテルのような建物が見えてきた。

(写真をとり忘れたのでこれまた転載)

遠くから見ると怪しさ満点の建物だが、

近くで見ると上に世新大学の文字。

どうやらここは大学のキャンパスのようだ。

良かった。

少なくとも大学のキャンパス内で

人身売買に直面することはないだろう。

しかし 安心したのも束の間、

今度は別の不安が襲ってきた。

「僕たちはいったい誰とバスケをするのか」

というのもこの日は若干雨が降っていて、

屋根のない場所でバスケをするのは難しい状態だった。

となるとバスケができるのは

学校の体育館のみだ。

僕はバスケサークルに所属していたので、

大学の体育館を使ってバスケをすることができるのが、

全国から選ばれた精鋭が集まる

大学のバスケ部だけであることを知っている。

これは日本の場合だが 

恐らく台湾でもさほど違いはないだろう。

この日台湾人についていったのは

僕を含めて3人。

みんなバスケは素人に毛が生えたレベルだし、

何より体育館用の靴など持っていない。

そんな3人が現役のバスケ部員達と戦ったら…

考えるだけで恐ろしい。

この台湾人は日頃から日本に不満を溜めていて、

バスケが得意な友人を使って、

バスケ素人の日本人をボコボコにして、

日頃のストレスを晴らしているのではないか?

僕の不安をよそに この台湾人は

どんどん体育館へ近づいていった。

「オーッス!!!」

すると体育館から凄まじい円陣の音がとどろいた。

ヤバい。

気合いの入り方が全く違う。

これはもはや楽しくバスケをする時の

モチベーションではない。

明らかに ムカつく日本人を 

バスケと称した暴力でひれ伏させようという

純粋な悪意から来る殺意だ。

台湾は親日国だというのは真っ赤な嘘だ。

僕は恐怖で逃げ出しそうだったが、

いまここで逃げ出せば、

何が起こるか全く分からないので、

必死にこの台湾人についていった。

すると彼は体育館の観覧席に

僕たちを連れていった。

するとすぐに「ビー!」と

遊びのバスケでは決して使われることのない

ブザーが鳴り響き、

どこの大学かも分からないバスケの試合が始まった。

これはいったいどういうことなのか

すぐに1年生がこの台湾人に説明を求めると、

彼は衝撃の回答をした。

「まずはこの試合を全部観ろ。

試合が終わったら試合に出ていた

俺の友達とバスケをさせてやる。あいつが俺の友達だ。」

そう言って彼が指さした方向にいたのは

頭にバンダナをつけた身長190cmぐらいの黒人だった。

僕たちは完全にこの台湾人の異常性を悟り、

彼が試合に夢中になっている隙に、

軽い挨拶をしてすぐに体育館から出た。

あのままもし体育館にいたら、

僕たちはどうなっていただろうか。

今となっては知るよしもない。

この経験から言えることがひとつだけある。

「知らない人についていってはいけない。」

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