( 意味不明な奴でありたい | Just another WordPress site

フランクフルトで僕のフランクフルトは暴発した

「I’m com………」

この続きを言い遂げることはなかった。

2021/9/10

ケルンでの思わぬ出合いによって旅の不確実性を改めて痛感した僕は再び確実性を求め、予定通り次なる目的地であるフランクフルトにやって来た。

フランクフルトでフランクフルトを食う。

フランクフルトという地名を知った日本人が誰もは一度は思い浮かんでしまう陳腐なダジャレ。

しかしそんな古く腐ったダジャレだって時には大いに役立つことだってある。

僕が海外への旅に興味を持ったきっかけの一つは中文コースで知ったあるダジャレだった。

カタールで語る

いま思い返してみると全く面白くない言葉の羅列であるが、このダジャレが流行った大学2年時は「カタールで語るって何だよ」とゲラゲラ笑いこけていた。

そして笑っているうちに僕たちは「いつかカタールに行って本気で語ろう」と誓った。

某じょん怒涛の投稿

地名にまつわるダジャレを実現するためだけに海外に飛ぶ。

たった一瞬のダジャレに懸ける想いの強さに僕は強い感銘を受けた。

その時以降、僕の人生の楽しみの一つに海外にまつわるダジャレを実現するというものが加わった。

ついに訪れたフランクフルト。

願い焦がれたカタールではないが、この地もまたダジャレにふさわしい街であるに違いない。

フランクフルトに到着した僕は駅前に並んだ屋台で早速フランクフルトを購入し、フランクフルト中央駅で食した。

3ユーロ(1ユーロは130円)

フランクフルトの中心で食べたフランクフルトはいつにもまして美味な気がした。

こうして僕は長年の夢であったダジャレ再現をあっさりと達成した。

いやまだ達成していない。

フランクフルトは食べるだけじゃない。

健康な大和男児として生まれた僕は立派なフランクフルトを持っている。

このフランクフルトという地でこいつをフルスイングしないでどうする。

今見せろ お前の底力を 突き進め 勝利を掴み取れ

フランクフルトでフランクフルトを振る。

僕のフランクフルト旅が始まりを告げた。

予定では僕はフランクフルトに2日間滞在することになっていた。

とはいえ僕は既にフランクフルトで果たしたい2つの目的のうち1つを終えている。

フルスイングを見せるならやはり最終日の夜がふさわしい。

となれば僕に必要なことは1つ

鍛錬

ミスターフルスイングこと小笠原道大氏は結果を残すうえで必要なことを下記のように語っている

目の前のことをしっかり、一瞬、一瞬のプレーに気を抜かずにやる。そうすれば自ずと光は見えてくる

勝負のかかる場面で全身全霊のフルスイングを見せるためには日頃の鍛錬が欠かせないのだ。

僕はこのガッツ溢れる和製大砲の教えに習い、残りの2日間を自らの鍛錬に当てることに決めた。

ブログの更新やイギリス入国申請フォームの作成といった目の前の課題を確実に消化することによって心理面での充実を図る鍛錬。

8人部屋という劣悪な環境の中でも人がいなくっなった瞬間を逃さずに素振りをするといった技術面の鍛錬。

10時に寝て7時に起きる、3食必ず肉を食べるといった健全な生活による肉体面の充実を図る鍛錬。

以上のような「心技体」全ての強化を狙った鍛錬を僕は果たした。

そして運命の時がやって来た。

9/10 pm 19:00

心身ともに充足した僕は己の中の漢を滾らせつつ、地下鉄に乗り込み、決戦の地 エフ・カー・カーパレスドーム へ向かった。

しかしここで思わぬハプニングが発生してしまう。

パレスドーム最寄りの駅を降りるとまるでまさかの豪雨。

大粒の雨に苛まれた人々は着の身着の儘で駅構内に次々と駆け込む。

最寄りとはいえ駅からパレスドームまでは歩いて20分。

この豪雨で移動すれば、心理面の動揺は避けられないだろう。

僕は充足した思考力をフル回転させ、突然振り始めたという点とにわか雨の可能性ありという天気予報を考慮し、この雨はすぐに止むので駅で待つべしという結論を導き出した。

天気的中 海谷采配 冴えわたる 

僕の見立ての通り、ものの10分ほどで雨は小康状態となり、駅構内へ逃げ込んだ人々もそれぞれの目的地へと旅立っていった。

今日は冴えてるぞ。

心技体の充足に加えて第六感の覚醒。

僕はこの先に待っている素晴らしい未来を予感しないにはいられなかった。

そして旅立つ人々と共に、中断を経た僕も再び決戦の地への歩みを進め始めた。

時節 巨大な水溜りに悪戦苦闘しながらも歩くこと20分。ついにエフ・カー・カーパレスドームが僕の前に現れた。

煌めく鮮やかな桃色光線、次々とドームへ吸い込まれていく熱く燃える漢たち。

どれもこの地が漢たちの戦場であることを強く示していた。

僕も今日はその勇猛な戦士の1人だ。

見せつけてやれパワフルスイング。

僕は覚悟を決め、パレスドームの門をくぐった

受付には今後の楽園を予感させる妙に落ち着いた老人と漢たちの戦いを支える現金自動預け払い機が置かれていた。

僕は昨日取得した陰性証明と75ユーロを提出し、タオルと館内着を受け取り、受付を終えた。

受付を終え、奥に進むと右側に簡易な仕切りを挟んで異常な桃色光線を発する空間が存在しているのか分かった。

あそこか

自らの戦いの地を察した僕は右側とは対照的な白熱電球の灯るロッカールームへ向かった。

妙な心臓の高まりが僕を襲っていた。

着換え、シャワー、歯磨き。

これまで人生で何千回、何万回と繰り返してきた動作のはずなのに今日は何だかスムーズにいかない。

ロッカーに入れるはずの物を入れ忘れたり、2回シャンプーをしてしまうといった初歩的なミスが止まらない。

これが戦場に向かう漢たちにやってくる緊張か。

僕は自らが強いプレッシャーに晒されていることを実感した。

こうして僕は通常よりも長い時間をかけて一連の準備を終えた。

次に待っているのはもうあの空間だけだ。

僕は速まり続ける心臓の鼓動を感じつつも、何も感じていないような素振りでスタスタと桃色空間へ足を踏み入れた。

チンコ!マンコ!

緊張の面持ちを隠しきれない僕のもとに開口一番痛烈な打球が襲った。

思わず打球の方向を見るとそこには下着一枚の金髪美女がバーカウンターに腰掛け、手招きをしていた。

流石はパレスドーム。やってくれるじゃないか。

僕は思わぬ先制パンチに驚きつつも、この場所が自らの期待に合った場所であることを実感した。

桃色空間はバーテンダーを中心に円上にカウンターが並んだ洒落たバーといっても差し支えない場所であった。

ある一点を除けば。

その一点はもちろん女性たちの存在だ。

彼女たちは下着一枚の状態でバーカウンターに陣取り会話に興じていた。

まずは観察から。

ひとまず僕はバーカウンターを1週し、どのような女性が存在しているのか確認した。

カウンターに座る女性はみな白人で、光輝く肌を持った方から深い皺が刻み込まれた方まで幅広い年代の方が存在していた。

彼女らは一見何の気もないようにカウンターに座り、酒を嗜み、お喋りに興じているが、僕が近くを通ると途端に目の色を変え、愛想の良い挨拶をよこした。

漢としての決意を固め、入店したはずの僕であったが、白人美女に愛想を振りまかれ続けるという人生初イベントにすっかり怯みきり、挨拶を返すだけで精一杯になってしまった。

このままではフルスイングどころではない。

僕には精神をととのえる必要があった。

僕はバーカウンターの奥にあったサウナに向かい、再び漢としての準備を行うことにした。

どうしたんだ海谷 何のためのエフカーカーなんだ。

僕はアチスなサウナに入りつつ自らに問いかけた。

僕はこのフランクフルトという地で自らのフランクフルトをフルスイングする。

目標は単純明快だ。

怯んでる場合じゃないんだ。

GO海谷 全力で走れ GO海谷 全力で飛ばせ

僕は漢としての魂を奮い立たせ、再びあのバーカウンターへ全力で帰った。

そして今度は1人の女性の手をとった。

彼女はアレクサと名乗った。

ミラ・ジョボヴィッチ風の長身白人美女であった彼女は僕が日本人であることが分かると、例のごとく「チンコ! マンコ!」と語りかけ、「元彼は日本人だった」という嘘か真か分からない話を披露した。

そして僕の手をとり、「サイエンスムービーを観よう」と言って小さなシアタールームに案内した。

シアタールームには男女が生命を作り出すために行う活動を撮ったサイエンスムービーが流れていた。

彼女と僕は部屋の隅に座り、年齢や職業といった風俗風会話を始めた。

そして会話が終わりに差し掛かると彼女は徐々に僕の下半身に手を伸ばした。

僕のバットは立ち上がった。

僕もやはり漢だったんだ。

彼女は僕の構えが出来たことを確認すると、再び僕の手をとり、今度はバッターボックスがあるだけの個室に案内し、鍵をかけた。

お膳立ては整った。後は役目を果たすだけ。

僕は料金の確認を手短に済ませ、バッターボックスで大の字に構えた。

彼女は自らの手と口でバットの最終調整を行った。

そして僕は彼女の中を捉えた。

彼女の激しい腰の振りから繰り出される直球に僕のバットは開始早々既に粉砕寸前であった。

ヤバい。このままでは

僕は自らのバットの耐久力を考慮し、力まかせにフルスイングした。

やみくもに振ること数回。

あの感覚が僕を襲った。

「im com…! Ahh…」

僕は暴発した。

僕の渾身のフルスイングを見届けた彼女はこれまでの親しげな態度が嘘のように淡々とした様子で後処理を済ませた。

僕は先月某りんと熊本に行った際に彼が風俗店で暴発した話を思い出した。

あの時 僕は「暴発? 情けないなぁ」と彼を笑っていた。

しかし 今はどうだろう。

暴発を馬鹿にしていた僕がいとも簡単に暴発したのだ。

情けない。情けない気持ちでいっぱいだ。

僕はフルスイングを果たした喜びよりも暴発してしまった悲しみにうなだれていた。

僕は早く漏れてしまう人間なんだ。

ここにきて僕は自らの性質を再確認することになった。

そして僕の財布から50ユーロが消えた。


ドイツ・ケルン 完璧な一日など存在しない 〜サウナが教えてくれたこと〜

無用な心配をしたあげく、何事もなくドイツに到着した僕は次なる旅路への計画を練っていた。

普段であれば、目的地に到着する以前にざっくりとした流れを考えておくはずなのだ。

しかし今回の旅路では「何か入国できない気がするから後でいいや」という具合で僕の怠惰主義と悲観主義が完璧な化学反応を見せてしまい、全て先延ばしになってしまっていた。

ドイツ…ビール、サッカー、FKK、ケルン大聖堂。

冷静に考えれば分かることだが、無学、無教養、無風情の3無の象徴である僕にとって計画を立てることはそれほど複雑なことではない。

良いものを観て、良いものを食って、良いベッドで寝る。

#クウヤルネル

大局的に見ればどんな場所に行っても上記のことは大きく変わらないのだ。

自らの単純さに感謝の念を抱きながら、僕はドイツ旅に関してざっくりとした計画を立てた。

1日目 デュッセルドルフ (ライン川見たい)

2日目 ドルトムント(サッカー博物館行きたい)

3日目 ケルン (ケルン大聖堂見たい)

4、5日目 フランクフルト (フランクフルト食べたい&振りたい)

6日目 ケルンからロンドンへ移動

+どっかでサウナも行きたい、ビール&ソーセージも満喫したい。

地図

1日1行の大雑把な計画ではあるが、僕はHIなんとかでもJTなんとかでもないただのはいぐ〜なので現段階ではこの程度の計画で十分だ。

そしてこれらの計画はある瞬間までほぼ完璧に機能していた。

ある瞬間までは

2021/9/8

デュッセルドルフ→ドルトムントと安定した旅路を終えた僕はケルン大聖堂を体感するためにケルンを訪れた。

安定旅路の継続は僕のアイデアにも大きな影響を及ぼす。

ケルンに到着し、ホテルのベッドでゴロゴロしていると、今日という一日を楽しく平和に過ごすためのアイデアがどこからともなく僕の脳裏に浮かび上がってきたのだ。

15:30 現在

16: 00 昼食

16: 30 ケルン大聖堂見る

18: 00  サウナで一汗

19: 30  ビールとソーセージで晩酌

20: 30  夜景鑑賞

やばい 完璧な一日だ。

ざっくり計画主義の僕がこんな完璧な一日を送って良いのか。

予定調和を愛して良いのか

いや

思いつきでばかり行動してきた僕でもたまにはこんな日があっても良いんじゃないか。

自らの計画力向上に複雑な心境を抱きつつも、せっかくの美しい計画を台無しにする必要もない。

今後の美しい未来に心を踊らせながら僕はホテルを出発した。

計画どおりに例のごとくケバブ屋で昼食をとり、ケルン大聖堂に向かった。

ケルン中央駅の正面にそびえ立つケルン大聖堂は今後”大聖堂”と名のつく観光地を見ても全てショボく感じてしまうのでないかと思うほど、巨大で荘厳な作りであった。

自らの姿が写った記念写真撮影が若干難航したものの、予定どおり30分ほどケルン大聖堂の圧巻の景色を満喫した。

この日は日差しが強く夏の兆しが残る一日であった。

3無らしく写真撮影に躍起になっていた僕は自らがすっかり汗ばんでいることに気づいた。

さあ 次はサウナだ。

僕はオランダでの経験からサウナに対して良い印象を抱いていた。

聞くところによるとドイツもオランダと同じ男女混浴着衣無しのサウナ文化を持っているらしい。

サウナで身も心もととのい、ビールを飲めば最高の一日だなあ。

僕はリサーチしていたサウナに向かいながらそんな妄想にふけていた。

当時行こうとしていたサウナ

ケルン大聖堂から歩くこと15分。ついにお目当てのサウナに到着した。

さあととのいだ。

僕は意気揚々とサウナの門をくぐった。

僕 「one person 」

店員 「vaccinated?」

僕 「no」

店員 「sorry」

僕 「pcr test ok?」

店員 「sorry」

どうやらサウナの入場にはワクチンの証明書が必要とのことだった。

ゆるゆるの入国審査にすっかり油断していた僕は思わぬ洗礼を浴び、さっさと追い返されてしまった。

とはいえ今日の完璧な一日はサウナ無しでは完成できない。

まだ夕食には早すぎるし、このサウナ気分を満たさずにはいられない。

全てのサウナがここまで厳しいとは限らないだろう。

ドイツは店によってコロナ対策が厳しい店とゆるゆるな店がはっきりと分かれていることは3日間の滞在で理解していた。

僕はすぐさま別のサウナを探した。 

流石はサウナ地帯ヨーロッパ。ここの他にも多くのサウナがあることが分かった。

僕はその中でも最も近くにあったphoenix saunaへの訪問を決めた。

サウナ! プール! ととのい!

僕のサウナ浴は限界まで高まっていた。

入店拒否サウナからphoenix saunaまでは歩いて15分ほどあったが、士気の高まりにより遠さを感じることもなくあっという間に到着した。

しかしphoenix saunaもまた先ほどのサウナと同じようにワクチン証明書の提示など厳しい対策を施していることが入口の張り紙で分かった

唯一違ったのはpcr検査結果でもOKとしていた点だ。

僕は1週間前に日本で受けたpcr検査の結果を持っている。

サウナに飢えていた僕はダメを承知で1週間前の検査結果を持って店に入った。

店員は先ほどと同様に証明書の有無を問いかけた。

僕は自信満々に1週間前の陰性証明書を掲げ、医者のサインがあるだとか権威性のある要素を適当にアピールした。

すると店員も納得した様子で頷き、僕の入店を許可した。

やっとサウナに入れる。

やはり今日は完璧な一日なんだ。

店員からタオルを受け取った僕は身も心も弾ませて更衣室へ向かった。

そこが地獄の入口であることも知らずに。

更衣室は受付から階段を降りた先にあった。

一見 何の変哲もないロッカーであったが、後で振り返ると妙に薄暗い雰囲気があったと感じる。

だがしかし当時の僕はそんな違和感に気づくこともなく、サウナを楽しめる喜びに浸り続けていた。

足早に着換えを済ませた僕はシャワールームへ入った。

シャワールームは欧米らしく数枚の仕切りがあるだけの開放的な作りをしていた。

僕はここで最初の違和感を覚えることになる。

僕が訪れた際には既に何人かの漢がサウナ内をうろついていた。

それ自体はどのサウナでも当たり前のように見られる光景である。

しかしこのサウナが違っていたのはどの漢たちも妙に張り詰めた雰囲気をまとっていることである。

普通のサウナの漢たちのような開放感溢れる雰囲気ではなく抑圧された何かの行き場を探すような独特な雰囲気を醸し出しているのだ。

サウナってこんな緊張する場所だったけ。

僕はサウナ内の妙な緊迫感に底知れぬ違和感を覚えつつ、ひたすらにシャワーを浴びた。

その違和感はすぐに明確な現実として登場することになる。

シャワールームを出るとサウナには全くもってそぐわない欲望を滾らせるネオンサインが煌めくスチームサウナがあった。

ああ そうだったのか

僕の旅路が安定で終わる訳ないよな。

妙にギラつく漢たち。ピンクサロンでしか見たことのないようなネオン。

僕はこのサウナにまつわる全ての事象を察した。

ただ サウナーたるもの如何なる状況であってもサウナを楽しむべし。

目の前にサウナがあるのに入らない漢をサウナーと呼べるのか?

へっぽこサウナーである僕だがここはサウナーとしての矜持を見せなければならない。

僕はこの先にどんな現実が待っていようとも、いつものように3セットのサウナ浴を完了することを固く誓い、サウナ室の扉を開けた。

サウナ室は灯りの少なさと蒸気で前が見えないほど暗く、迷路のように細長い作りをしていた。

恐怖と好奇心の両方が僕の心臓を大いに震わせていた。

暗闇の中1分ほど歩くと2段ほどのベンチがある小さな小部屋にたどり着いた。

あたり一面に漂う性に飢えた獣の呼吸音。

ここはダメだ。

某道場で鍛えた嗅覚が僕に訴えかけていた。

僕はすぐさま引き返し、部屋へ続く道の途中にあったベンチに座り、サウナを楽しむことに決めた。

それほど熱くはないスチームサウナであったが、普段では考えられないほどの汗が僕の体から噴き出していた。

こんなに緊張感のあるサウナは後にも先にもないだろう。

部屋に続く道の途中にあるベンチに座る僕の前を多くの”サウナー”たちが通過していった。

みな一様にギラギラとした目つきで獲物を見定めるかのように僕を見つめた。

僕は以前某りんに「ギラギラしてる漢のほうがかっこいいよ」と無責任な言葉をかけたことを思い出した。

今なら自信を持ってあの言葉を撤回できる。

見知らぬ人からギラつかれるのはマジで怖いから、ギラつく相手は選べと。

そうして恐怖と緊張に苛まれていると徐々に身も心も限界に達しつつあるように感じた。

僕は水シャワーを浴び、あのネオンライトのない平和そうなジャグジーへ移動した。

ジャグジーで束の間の平和を味わっていると、先ほどギラついていた漢のうちの1人がこちらを見て微笑みながらジャグジーの前を通過していった。

彼はプーチン大統領に似ていたので以後プーチンと呼ぶことにしよう

僕は適当に微笑み返しつつ、僕がサウナに戻るのをプーチンが待っていることを察した。

如何なることがあっても3セットをやりきる。

それが僕の今日の誓いだ。

僕は誓いを思い出し、再び自らを奮い立たせ、サウナ室へ向かった。

そして先ほどと同じベンチに座り、滝のような汗を流した。

僕がサウナに入ってから数分。

入口から人影が見えた。

プーチンだ。

やはり彼はやってきた。

そして予定調和といわんばかりに僕の隣に座った。

ただ僕はまだ2セット目だ。ここで安易に受け渡すと次のセットを楽しむことはできない。

僕はサウナを楽しみにやって来た。そこだけは譲れない。

僕は上下の局所をタオルで頑なに隠し、そうした気はないことを強く主張した。

僕の主張が伝わったのかプーチンも隣に座っただけで、これといった動きを見せることは無かった。

こうして2人隣り合って熱さに耐えること10分ほど

僕の2セット目は終了した。

2セット目の段階で心身ともにかなりの疲労を感じていた僕だったが、ジャグジーで体勢を整え、最後の戦場へ向かった。

これまでと同様に中間地点のベンチに座るとこれまた同様にプーチンが僕の隣に座った。

僕はタオルを開放した。

良かったなプーチン。僕は期待されると断れない性格なんだ。

僕がタオルを開放するとプーチンはベルリンの壁が開放された際の東ドイツ市民のように、即座に僕の体になだれ込んだ。

そしてKGB仕込みのテクニックで僕の体を端から端まで触れていった。

当初は違和感しかなかった僕であったが、元々漢の指は嫌いじゃない。

サウナ中にマッサージをしてもらっているような感覚は決して悪いものではなかった。

これもサウナの楽しみ方なのかもしれない。

しかし彼は次第に僕の大切な商売道具にまで手を伸ばし始めた。

彼が次のステップに進みたいのは明確だった。

ごめんな プーチン 僕はもう昔の過激な遊びばかり追い求める僕じゃないんだ。強引なやり方はやめようぜ

僕はそう心の中でつぶやき、体を起こして彼の頬に唇を当て、その場を後にした。

彼の落胆した様子が遠くに見えた。

ps 夜のケルン大聖堂の景色は感動的な美しさでした。

ドイツ・デュッセルドルフ 〜入国審査と巨大ケバブ〜

アムステルダムを離れた僕が次に向かった地はドイツ・デュッセルドルフだった。

ドイツの西側に位置するデュッセルドルフはアムステルダムからバスで4時間ほどと非常にアクセスが良く、ドイツ旅を始めるうえで絶好の都市であると感じた。

一方で僕はドイツへと移動に関して若干の不安を抱いていた。

というのもドイツが9/5から日本を「コロナウィルスハイリスク国」に指定したからだ。

詳細を確認すると、入国前10日以内にハイリスク国に滞在していることが発覚した場合、自己隔離が必要とのことだった。

僕自身も渡航前から再三再四情報を確認し続けていたが、僕が空の世界に隔離されていた間に発表がなされてしまった。

僕の旅はオランダで終了してしまうのか。まだ始まって3日も経ていないのに。

オランダの雲ひとつない青空とは対照的に僕の旅に一群の暗雲の立ち込み始めた。

まあどうなったて良いだろ。突飛なことは全てブログに書いてしまえばいい。

「不安に駆られても何の意味も無い。予約は取ったのでとりあえずバスに乗ろう。」

僕は悪を引き起こそうと奔走する自らの思考を放棄し、足早にバスに乗り込んだ。

バスはロッテルダムやらネイメーヘンやら様々なオランダの都市を寄りながら、様々な不安で揺れ動く僕の思考のように曲線的な線を描いて進んでいった。

そして迫る国境線。

ここで降ろされたら”旅”が始まるな。

僕は不安と一抹のワクワク感を抱え、バスに揺られていた

そんな僕の焦燥をよそにバスは何者にも遮られることなくあっさりと国境線を突破した。

僕に起きた変化といえば、オランダで買ったsimカードが全く繋がらなくなったぐらいであった。

バス停に何かがあるのか。国境線を超え、安心した東洋人を絶望の淵に叩き落とす何かが。

僕の疑心は大いに膨らみを続けていたが、バスもまた決められた道順をひたすらに走り続け、ついにデュッセルドルフに到着した。

停留所が数個置かれただけのバス停に到着すると、バスのドアが一斉に開放された。人々は我先にと荷物を背負い素早くバスを降り、各方向に散っていった。

そこに待っているものは何もなかった。

何かが待っていると勝手に妄信していた僕は呆気にとられた。

人間は得てして予期せぬ自由に弱い。

僕はデュッセルドルフに着いてからのことをほとんど想定していなかった。

人々に押されひとまずバスを出た僕ができることは限られていた。

宿の名前は? 所在地は? 腹減ったな飯は?

僕は適当に街を歩きながら、一旦フリーズした脳を再活動させ、次の行程を考えた。

しかし何か物事を考えるには僕の脳は疲弊し過ぎていたし、どこかへ足を延ばすには僕の腹は減りすぎていた。

幸いなことにバス停は食事処も多い市の中心にあった。

ただ適当に歩くだけで様々な食事処が僕の目に飛び込んでくる

その中で僕の目を最も引いた食べ物があった。

ケバブ

そうかつて僕が漢のロマンを追い求め作り上げた食事

あの時も全く焼けることのないケバブ肉を見て呆気にとられていたものだった。

肉だ。デカい肉は全てを解決する。

例のごとくこのレストランにも巨大なケバブ肉が鎮座していた。

僕は迷わずケバブサンドを注文した。

これまた例のごとくトルコ系の従業員は慣れた手付きで肉を切り、野菜などと共にパンへぶち込んだ。

そして例に外れた無茶苦茶なサイズのケバブサンドが僕の前に現れた。

3.5ユーロ(440円)異常に安い

デカい。異常にデカい。もはやサンドできていない。呆気にとられた思考を取り戻すために食べるケバブを見て僕は再び呆気にとられてしまった。

もう呆気にとられている暇はないんだ。目の前に飯があったらやることは一つ。

食う。

僕は服や顔が汚れるハイリスクを恐れずにひたすらかぶりついた。

旨い 旨い。

僕の脳腹へ急速にエネルギーが溜まっていった。

そうだ僕はドイツに入国したんだ。

もう僕は自由の身なんだ。

エネルギーを取り戻した僕の脳はあらゆる事実を素早く処理した。

瞬く間にケバブを平らげた僕は足早に宿へと向かった。

ドイツ旅はまだ始まったばかりだ。続く

快楽と開放の街アムステルダムpart3 国が変われば常識も変わる 〜サウナが教えてくれたこと〜 

前回に続いてオランダ・アムステルダムで起きた出来事について語っていきたいと思う。

2021/9/6

開放・快楽主義のオランダの雰囲気を堪能し尽くした僕は次なる目的地であるドイツ・デュッセルドルフへの準備を進めていた。

アムステルダムからデュッセルドルフまではバスで約4時間。出発は14:50であり、チェックアウトから3時間ほどの余裕があった。

そこで僕は暇つぶしと安宿での粗末なシャワー体験を払拭するために〆のサウナをキメることにした。

早速調査を開始すると、サウナの聖地フィンランドからほど近いこともありオランダにはいくつかの良質そうなサウナがあることがわかった。

僕はその中でもアムステルダム中央駅に近く、評価も高いSauna Decoに訪れることに決めた。

オランダのサウナとはどのようなものなのだろうか関心を抱いた僕はSauna Decoの口コミを眺めていた。

するといくつかの興味深い口コミを発見した。

男女混浴? サウナに男女混浴なんてありえるのか? 

ああ水着が必要なやつか? そういえば以前テレビでヨーロッパの人々は水着を着て風呂に入ると放送していたような気がする。

興味をそそられてしまった僕はSauna Decoに関してさらに情報を集めた。

そこでわかったのは以下の3つだった

  • 1 男女混浴
  • 2 全裸(着衣なし)
  • 3 性的なサウナではない。普通のサウナ

意味がわからなかった。

いくら開放の国オランダといえど、見知らぬ男女が全裸で活動する空間があるのか?

全身から汗を吹き出したむさ苦しい老爺と金髪サウナ美女が💰もなしで共存?

恥らいと貞操の国日本で育った僕にはそうしたオランダのサウナ文化はにわかに信じがたいものであった。

百聞は一見にしかず。

なにはともあれ実際に行ってみないことには真実を確かめることはできない。

僕は疑問と期待に胸をふくらませSauna Decoへ向かった。

アムステルダム中央駅から歩いて12分。Sauna Decoは川沿いの小さなビルの一角にひっそりと佇んていた。

中に入るとやたらとゴージャスなインテリアが並べられたサロンのような空間が奥に見え、受付を挟んで手前側にサウナルームとロッカーが設置されていた。

(イメージ HPより)水色の空間は水風呂、おっさんたちが座っている左側にサウナ、シャワー、ロッカーがある


次に簡単な受付を済ませ、案内されるがままにロッカーに向かった。

ここである違和感に気づいた。

「ロッカーが一つしかない」

Sauna Decoは混浴サウナである。

にも関わらずロッカーは一つだけだ。

幸か不幸かオープン直後ということもありサウナ内は数人の老爺がいるだけで、特に変わった光景は無かった。

「ちょっと来るのが早すぎたかな」

自らの失態を反省しつつ、手早く着換え、シャワールームへ向かった。

シャワーを浴び終えた僕は人が増えるのを待つがてら、施設を探検した。

サウナは2つ ドライサウナとスチームサウナ

HPより

水風呂は水深1.5mのプールになっており水温は17度程度か。

水風呂の奥には外気浴が楽しめるベンチもあった。

サウナ施設としては基本の設備が整っており、Sauna Decoが純粋にサウナを楽しむ場所であることが伺えた。

いつまでも裸でふらふらとしていも仕方がないのでとりあえず僕はサウナに入ることにした。

いつものようにサウナ→水風呂(プール)→外気浴というセットをこなし束の間の快楽を堪能した。

2セット目に入ろうとした頃、にわかに周囲が賑やかさを帯び始めた。

様子を確認すると若い白人のカップルが何組か入場したようだった。

何が始まるのか?

僕の好奇心は大いに湧き上がっていたが、ロッカールームまで戻るのは不粋なので、何事も無かったかのように2セット目のサウナに入った。

サウナ中も僕の好奇心は水風呂の水の如くひたすらに湧き続けた。

Sauna Decoには内湯などの温泉施設はない。つまりここに訪れることはすなわちサウナに入ることを意味する。

先ほどの彼女らもいづれはこのサウナにやってくるのだろうか。

いつも以上にしみ込むサウナの熱によって、僕の額には大粒の汗が浮かんでいた。

煩悩にまみれ、ソワソワしながら熱に耐えること数分。その瞬間は突然やってきた。

ふいにサウナ室の扉が大きく開き、鮮やかなブロンドヘアーの女性が一糸まとわぬ姿で入場した。

彼女は僕の驚きの視線など全く意を介さず、僕の正面の座席にタオルを引き、仰向けに横たわった。

僕はいったいどこに来てしまったのだろうか。

何の変哲もないサウナが急に異世界へと変わった。

何をも気にすることなく生まれたままの姿で純粋にサウナを楽しむ姿は肉体面もそうだが、自らの快楽のために性のしがらみをも捨て、全てを開放するという精神面の美しさがあった。

僕は思わず見惚れてしまいそうになった。

だが、ここはあくまで一般のサウナ。過度な視線は大きな誤解の始まりだ。

僕は視線をグッと下げ、思考の世界に没頭することにした。

思考に集中していく中でやはりたどり着いたのは「自分の視界の狭さ」だ。

僕はこれまでサウナや浴場が全裸男女混浴でないことを常識だと考えていた。

しかし世界にはサウナを楽しむために当たり前のように全裸になり、浴場スペースの効率化のために混浴にする国も存在するのだ。

カルチャーショックだなんて言えば陳腐なフレーズかもしれないが、やはり文化の違いを体感することは僕に新たな考えを与えてくれる強烈なきっかけだと思う。

ありがとう。快楽・開放主義オランダ。

そんなことを考えていると彼女は立ち上がり、タオルを片付け、瀟洒にサウナを後にした。

あの光景は2度と忘れることはできないだろうな。

彼女のいなくなったサウナ台を見て、僕はそう強く感じた。

快楽と開放の街アムステルダムpart2 人生を謳歌する人々の姿に感動

前回に引き続きヨーロッパ旅について語っていこうと思う。

日本で感じた閉塞感を打破するために僕は最初にオランダを渡航先に選んだ。

売春や大麻が合法であり快楽主義、開放主義的な雰囲気を持ち合わせるオランダは僕の閉塞感を打破するにはうってつけの場所のように思えた。

オランダまでの総移動時間は約1日。これまでの最長渡航時間がタイに行った際の6時間だった僕にとって途方もない移動時間だ。

開放という真逆の価値観を手にするにはそれだけ長い距離を動かなくてはならないのだ。

僕は若干衰えを感じる23歳の体に鞭を打ち、飛行機に乗り込んだ。

「これからオランダに行くのか」

正直なところ僕は全く実感がなかった。

ほんの2日前までは副反応で1日中寝込んでいたし、今日という一日も飛行機に乗るという行為を除いて特に変わりはなかった。

いつもと変わらず飯を食い、映画を見て、ゴロゴロする。記憶に残らない一日であるはずだった。

ただ僕は空港に向かい飛行鉄塊に乗っただけなんだ

そんな僕の感覚などお構いなしに飛行機はひたすらに目的地へと進み続けた。

実感などなくても飛行鉄塊にさえ乗ってしまえば目的地にたどり着いてしまうのが現代の性のようだ。

家から成田空港まで2時間半、成田空港からドバイ国際空港まで10時間、3時間の接続を挟み、オランダ・アムステルダムまで7時間。

出発から22時間と30分。実感0の僕はアムステルダムに降り立ってしまった。

他の乗客に押し出されるがままに飛行機を降り、暗黙の流れに従い、入国ゲートにたどり着く。

入国ゲート前に長い蛇の如く列をなした人々の姿は僕にほんの少しだけ旅の実感を与えた。

そしてこの入国ゲートは僕に与えたものは旅の実感だけではなかった。

大蛇のような見た目に反して入国ゲートは素早い回転を発揮し、ものの数分で僕の番がやってきた。

僕はパスポートと入国前に大金をはたいて獲得した陰性証明を準備した。

だがしかし、入国管理官が要求したのはパスポートのみだった。彼らは僕の顔とパスポートの顔が一致していることを確認すると、適当にスタンプを押し、入国審査を終了した。

オランダ政府のHPには陰性証明が必要と書いてあったが…

世の中 ネットの情報だけではわからないことがまだまだたくさんあるようだ。

なにはともあれ流石は開放の国オランダ。どんな奴らにもとりあえず国境は開放、面倒な証明作業の仕事から入国管理官も開放。

入国早々開放のワンツーを決められた僕は異国の地に降り立ったという実感を否応なく獲得することになった。

しかしこの程度の開放は開放大国オランダにとってほんの序の口でしかなかった。

あっという間の入国審査を終えた僕は地下鉄塊に乗り文字通りアムステルダムの中心であるアムステルダム中央駅に向かった。

地図を見るとよく分かるがアムステルダムはアムステルダム中央駅を起点として巨大な歓楽街が広がっている。

開放といえば歓楽街という安く直球な考えで僕はアムステルダム中央駅周辺に宿をとっていた。

こうした僕の考えとは真逆な高く曲がりくねった地下鉄塊に乗ること20分。ついに開放の中心アムステルダム中央駅に到着した。

そこにあった光景は僕の期待を遥かに上回るものであった。

雲ひとつない快晴。美しく荘厳な建築物。マスクもつけずに街を楽しむ人々。

これだよ。これが欲しかったんだよ。

僕が日本で感じた閉塞感を木っ端微塵に破壊する環境がアムステルダムにはあった。

その中でも特にこの街の人々の振る舞いには大いに考えさせられるものがあった。

ある者は酒を飲み、ある者は大麻を吸い、ある者は性に溺れる。

街の人々はコロナはただの風邪といわんばかりに、それぞれやりたいことをやって人生を謳歌しているように見えた。

#全国民平塚正幸

日本とオランダにおけるコロナ感染者比率はそう大差はない。

医療を守るために延々と自粛を続ける日本、コロナなど忘れて人生を謳歌するオランダ。

どちらが良い対応なのかを決めるのは難しいが、少なくとも世界には様々な考え方があるということだ。

#あたりまえ

郷に入れば郷に従え。

この自由闊達な雰囲気を求めてオランダに訪れていた僕はそう自分を納得させ、自らの快楽の赴くままに行動することにした。

食いたいもんを食い、

日本のコロッケの元となった料理らしい

いきたい所にいき、

眠い時に寝る。

幸せだ。今までの閉塞感が嘘のように僕はオランダを満喫した。

そして開放・快楽主義に溺れ続けたオランダ旅も最終日をむかえた。この日 僕はオランダの開放・快楽主義の真髄を見せつけられることとなる。

続く

快楽と開放の街アムステルダムpart1 〜開放を求めて〜

2021年8月 僕は強い閉塞感を抱いていた。

長く険しい就職活動が終わりを告げてからというもの、僕はウメハラらと共に中文というコミュニティを盛り上げるために奔走した。

飲み会、高尾山、流しそうめん 思いついたアイデアは何でも実行に移した。の

奔走の成果もあり、ほんの1年前まで荒廃し閑散しきっていた中文コースには多くのニュー・カマー達が集まり、従来では想像できないほどの活気が戻りつつあった。

しかし楽しい日々はそう長くは続かないのが世の常というものである。

例にもごとく中文コースはコース集まりの弱点でもある夏休み突入による集合口実の減少によって急速に集合率が悪化し、下火となっていった。

中文歴5年の僕にもなればこの流れが起きることは想定の範囲内だった。夏休みに「みんなで」「大勢で」なんて楽しみを期待してはならないのだ。

集まりの減少を見越して、僕は夏休みに関していくつかの予定を立てていた。

予定調和を愛するな。

某編集者がかつて声高に主張していた言葉だ。

その編集者を初めて知った時は僕も彼の世間の常識を打ち破る姿に感銘を受け、バカの一つ覚えのごとく「予定調和を愛するな」と吹聴し続けていた。

実際に今夏の予定調和は見事に崩れた。

夏の一番天気が良いタイミングだろうと見越して予定を立てた無人島サバイバル企画は季節外れの長雨により無念の延期となった。

8月のうちにできるだけ稼ぐという目論見もお盆中の発熱により志し半ばでの中断を余儀なくされた。

いざ予定調和が崩れた時に僕を襲った感情は喜びではなかった。

そこにあったのは閉塞感、端的に言えばシブさそのものだった。

店はやってない、長雨ばかり、自粛ムード

シブい。冷静にシブい。いつから日本はこんなシブい国になってしまったのか。日本に来た留学生が口を揃えて「日本は楽しい」と語っていたあの国はどこへいってしまったのか。

ぶつけようのない怒りとやり切れない閉塞感が僕を襲った。

そんな時にふと目に移ったのはイギリスのサッカーリーグでマスクもつけずに騒ぎ叫ぶ人々の姿だった。

彼らは自粛だとか医療崩壊だとか何も考えずに自分のしたいことを思う存分楽しんでいた。

欲しい。いま僕が欲しいのはこの環境なんだ。

彼らの本能に従って人生を謳歌する姿は僕の欧州旅行への士気を大いに高めた。

この閉塞感を打破するには環境を変えるしかない。

日本がダメならヨーロッパだ。

世界は広いんだ。自粛を愛する日本に留まり続ける必要はないんだ。

僕の閉塞感は少しづつ開放の瞬間を待っていた。

そして9月某日。ついに待ちに待った渡航の日がやってきた。

続く

すね毛と共に生きてゆく

すね毛

この世に生を受けて23年、僕はこのたった数センチの黒い物体に苦しみ続けてきた。

話は小学校時代に遡る。

父親の剛毛遺伝子をふんだんに受けついだ僕は学年が上がるにつれてその突出した毛量で他の児童たちを圧倒するようになっていった。

友人たちの足と比べて漆黒に染まった我が足を見て落胆することはあったものも、当時はまだまだ無邪気な小学生。

すね毛いじりもせいぜいたまに毛を抜かれる程度で、露骨な悪意を感じるものは少なく、僕が抱いた苦しみもわずかなものであった。

そんな僕の小さな欠点意識を明確なコンプレックスと変えた場所があった。

そう かの悪名高き横浜市立岡野中学校だ。

中学校ではバスケットボール部に入部した。

バスケでは練習着が短パンになるため、僕の剛毛っぷりがより強調されやすい状態となってしまった。

そんな僕の剛毛を人の粗探しに命をかけるただ歳が1つ上であるだけな奴らが見逃すはずはなかった。

「先輩命令」

彼らはこの文句を馬鹿の1つ覚えのごとく乱用し、僕に対してテーピングやガムテープを足に貼り付けて剥がす「テープすね芸」を強要した。

ことあるごとに激痛と嘲笑に苛まれた僕はすっかり自らのすね毛に対してコンプレックスを抱くようになってしまった。

あれから何年もの月日がたった。

公立中学校という「魔界」を抜けて以降、「テープすね芸」を披露することはなくなった。

しかし僕のすね毛は抜けること無く増え続け、一度植え付けられたコンプレックスも抜けることはなかった。

バスケサークルでの練習やyoutubeのすね毛脱毛広告を見るたびに自らの剛毛が僕の脳裏によぎった。

もちろんこれまですね毛を無くそうとしたことは何度もある。

髭剃りに除毛クリーム、ブラジリアンワックス。

どの方法も僕の剛毛が持つ雑草魂に勝つことはできず、生えては処理、生えては処理を繰り返すうちに僕の肌と心は荒れ果て、除毛断念を余儀なくされた。

いつしか僕は男某場で言われた「毛は男らしさ」という言葉を妄信し、コンプレックスを覆い隠そうとしていた。

そんな僕に転機をもたらしたのは家で唯一の話し相手である妹だった。

例のごとく海谷家の宿命であるすね毛を継承してしまった妹は、これまた例のごとく公立中学校に通い始めてからすね毛を気にするようになり、脱毛を始めた。

脱毛に成功して以来、ことあるごとに妹は僕の足を見て「やばい」「こうはなりたくない」と指摘するようになった。

当初はいつもの「すね毛は男らしさ」というバカの1つ覚えで対処していたが、何度も指摘されるにつれて僕の覆いが少しずつ取れていくような感覚があった。

そしていつものようにgorogoroを満喫していたある日、ふと僕はすね毛に関心を抱き、検索エンジンを開いた。

「すね毛 処理 メンズ」

久しぶりにすね毛処理界隈を覗いてみると、界隈は進化を遂げ、様々な処理方法が発達していることが分かった。

その中でもある画期的な方法が僕の目に止まった。

「脱色」

僕はこれまで毛を無くすことに囚われ、生えては処理、生えては処理を繰り返すうちに肌と心が負けるという流れに苦しんでいた。

男なら誰でもすね毛は生えている。

何もすね毛を無くす必要は無いのだ。

異常な剛毛であることが見透かされなければ良いのである。

新たな可能性の登場に心踊った僕はジャングルに向かい、脱色剤を購入した。

脱は急げ 剛毛から中毛へ スピード! スピード!

長年の苦しみを解放する瞬間がついに訪れる

感情の高ぶりが抑えきれない僕は脱色剤が到着した夜、すぐさま脱色への扉を開いた。

すね毛たちも心なしか脱色を待ち望んでいるようだ。

まずは説明書の通りに付属のカップの容量に合わせて液体を混ぜ合わせ脱色液を錬成した。

こいつが僕を苦しみから解放するのか。ただの白い液体なはずなのに何だかとても頼もしい存在に覚えた。

液を作って安心したのも束の間、すぐさま新たな問題が発生した。

完全な液不足

写真で勘づいた方もいたかもしれないが、あのカップ程度の液量で僕の剛毛を脱色するなど到底不可能だ。

何が説明書だ 剛毛なめんな クソくらえ 

説明書の剛毛想定力の低さに遺憾の意を覚えた僕は残っていた液を全てカップにぶちこみ、剛毛仕様の脱色剤を完成させた。

後は塗るだけ。

僕はあの頃の嘲笑の日々を頭に浮かべつつ、もう一度新たなすね毛との関係性を求め、一心不乱に液を足に塗りたくった。

悪黒に染まったすね毛どもよ 今こそ正義の白を手にするにあらん。

僕は新たな脱色毛を手にし、二度と剛毛呼ばわりの屈辱を受けない はずだった‥

そこに待っていたのはあまりにも微妙な結果であった

脱色後の足がこちらである。

微妙だ 限り無く失敗に近い微妙である

確かによく見ると最初の写真に比べて薄くなっているような気もする。

しかし僕が求めていたのはこんな微妙な結果ではない。

求めていたのはこれまでの悪夢を払拭するような爽やかな白だ。

徒労感、虚しさ、無念さ 様々な感情が代わる代わる僕を襲った。

僕は母と妹に批判を受けながら50分間、風呂場にこもった。

手に入れたのは茶髪のすね毛。

もうやめよう。僕はこれからもすね毛と向き合って生きてゆくしかないんだ。

「トウマくん 毛が大好きなお客さんもいるから絶対剃っちゃダメだよ」

ふと彼の言葉が脳裏をよぎった。

2年の月日で変わったのと変わらないもの

6月某日 都内近郊某大学説明会にて

「困っている学生を助けることができるのが大学職員の一番の魅力です。」

彼は親の敵のごとく忌避していたスーツを羽織り、淀みなく言い切った。

2019年 夏

僕たちは尖りに尖っていた。

「早稲田から1トン増やす会」を作り、ちゃんこ配布企画、ハチミツパン配布企画、そしてプール企画、ありとあらゆる企画を実行した。

新たな企画を生み出し続ける楽しさは何ものにも変えがたい経験であったし、学生生活を振り返った時、真っ先に思い浮かぶ場面の1つであろう。

しかしそんな僕たちのささやかな楽しさに水を差し続けていた存在がいた。

そう 他でもない大学職員だ。

バナナ配布企画では職員室呼び出し、ちゃんこ配布企画では警備員を派遣し撤収強要、極めつけはプール企画での人格否定。 

彼らはことあるごとに僕たちの前に現れ、楽しさを奪っていった。

「大学職員はつまらん奴ら」「あんな風になったら終わりだ」

僕たちはそんな恨み口を言っては大学職員に妨害された憎しみを晴らしていた。 

「あいつらがいなければ」そんな感情を抱いたことも一度や二度ではなかった。

当時の僕たちにとって大学職員は僕たちを困らせる「天敵」であったのだ。

それからいくぶん月日が経った。

どのような心境の変化があったか定かではないが彼は大学職員になった。

そしてこの瞬間 彼は未来の「天敵候補」たちに向けて大学職員の魅力を語っている。

あの時、恨み、憎しみ、蔑んだ「大学職員」に対して。

面白い。最高に意味不明だ。

彼の2年がかりの壮大なギャグは僕の笑いのツボを破壊するに十分なものであった。

いま目の前で「大学職員」の魅力を話す彼の姿と2年前「天敵」に向けて憎悪を向ける彼の姿が交互に現れる。

ダメだ。面白すぎる。

いまこの世界の誰よりも意味不明で面白いのは君だ。

#絶対に笑ってはいけない説明会

僕は彼のあまりの変化に対して心の中で大いに爆笑した。

ただその一方で 

ほんの少しだけ「さみしさ」を感じた。

天敵への憎しみを共有し、「無意味でくだらない」ことへ全力投球したあの時の彼といまの彼は違う。

1人の男として社会で生き抜くために過去の想いには触れず、大学職員の仕事を楽しんでいる。

いや彼だけじゃない。僕もだ。

以前の僕だったら天敵の魅力を雄弁に語る彼の姿に面白さを感じることはないだろう。

「そんなんはつまんねーよ」と一刀両断して、「AV出ろよ」とか面白いことの実現を強要しているだろう。

でもいまの僕は彼の変わり身っぷりに面白さを感じ、ゲラゲラ笑っている。

2年という短い月日の中で僕たちは変わった。

もう互いに社会に一泡吹かせようと結束することは無いかもしれない。

ただ僕たちの関係性は今も続いている。

今後も互いに変わり続けていくだろう。

それでも関係性だけは切れないなら良いんじゃないかと僕は思っている。

スーパーパンプマックスの使い方を考える その2

前回に引き続きスーパーパンプマックスの効能について考えていきたいと思う。

前回の即興パンプ体験では以下のことが分かった。

  • 心臓のパンプスピード向上
  • 行動力向上
  • パワー向上
  • 思考力の低下

この特徴を考慮した時、スーパーパンプマックスが力を発揮する機会とは何か。

思考力低下の副作用ゆえに知能労働は向かない。

知能がダメならパワーだ。

知恵よりパワー。パワーは全てを解決する。

やはりスーパーパンプマックスはパワーを発揮する分野で力を授けてくれるはずだ。

しかし僕はあいにくトレーニーでないので、日常でパワーを求められる機会はない。

いや 違う。僕は自らのパワー不足を言い訳にパワーを伴う活動を避けているだけじゃないのか。

自分のパワー不足からパワー労働に逃げているだけだろ。

パワーがあったらしたいことは必ずあるんだ。

スーパーパンプマックスがある今ならできる。何でもできるんだ。

僕はパワーがあったらやりたいこと。

僕の頭に真っ先に浮かんだものがあった。

瓦割り

僕は幼少期からテレビや映画で登場する瓦割りに対して密かな憧れを抱いていた。

最強にパンプした屈強な人々が己の拳のみで頑丈な瓦板を粉砕する。

その人間は非力であるという常識を根底から覆す爽快な破壊っぷりは僕の心を揺さぶった。

瓦を割りたい。

最強にパンプした僕ならできるはずだ。

パワーがあれば夢は叶う。

こうして僕は瓦割りへの挑戦を決意した。

瓦割りとは言ってもまずどこに瓦を割れる場所があるのか。

調査を進めていくとなんと浅草に瓦割りを体験できる場所があることが分かった。

世の中はやはりパワー優先だ。

パワー系たちを満たすニーズは必ずある。

僕は予約を取ろうとwebサイトを訪問したが、当日申し込みのみで、予約は受け付けていないようだった。

流石パワー系客層を持っているだけある。パワー系にとって瓦は割りたい時に割るもの。予約という概念が通用しないのだろう。

僕は予約を諦め、一路浅草へ向かうことにした。

浅草駅から店までは約10分。

僕はスーパーパンプマックスの効果が現れる時間を考え、新橋駅でパンプを注入した。

新卒駅から浅草駅まで約10分

浅草駅に到着するころには既に僕のパンプは始まっていた。

まんぼうなんてどこ吹く風、浅草周辺は和風かぶれの小日本人がわんさか沸いていた。

「全員ぶっ飛ばす」

パンプが止まらない。

僕は通りかかった小日本人たちの頭を片っ端からカチ割りたい気持ちでいっぱいだった。

暴れるパンプを必死に抑えながら歩くこと10分、ようやく瓦割り店が現れた。

やっと瓦が割れる。やっぱりカチ割るのは頭ではなく瓦だ。

僕の割りベーションは最高潮に達していた。

しかし

そこに待ち受けていたのは厳しい現実だった。

はいぐ~「瓦割りがしたいです。」

店員 「あ~ 今からだと一時間半待ちですね」

一時間半待ち!?

今日ほどストレス社会の現実を思い知った日はないだろう。

世の中には瓦を割らなければ生きてゆけないほど鬱屈としている人々が大勢いるのだ。

僕が単に観光で浅草に来ているのなら、一時間半なんてどうってことない。

しかし今日はパンプを入れているのだ。

パンプの効果時間には限りがある。

そう パンプは待ってくれないんだ。

僕は泣く泣く瓦割りを諦めた。

店を出た僕は失意のまま浅草の街を歩いた。

気持ちは落ち込んでいる。でも体は動きたがっている。

僕の中のパンプが解放してくれと叫んでいる。

#パンプが叫びたがってるんだ。

そんな心体不一致な僕の目の前にある思い入れの深い施設が現れた。

バッティングセンター

僕が以前 反射神経向上を目標に通った思い出の施設だ

当日は140kmの豪速球に手も足も出なかった。

でも最強にパンプした今なら…

パンプの結果を試すにはうってつけの施設だ。

打ってやる 140km 打ってやる

僕の心が再びパンプを始めた。

心と体の一致を果たした僕はギラギラとした雰囲気を纏わせ、バッティングセンターに入った。

しかし

そこで待っていたのはまたしても残酷な現実だった。

混雑 圧倒的混雑。

打撃成績をパンプしたい少年たちが黙々と鍛練を重ねる場であるはずのバッティングセンターは老脈男女が入り乱れる娯楽施設へと姿を変えていた。

これでは僕の打席がいつ回ってくるのか想像もつかない。

何度でも言おう。

パンプは待ってくれないんだ。

僕は再び失意のままバッティングセンターを後にしようとした。

だがその時 僕の視線の先にある娯楽が登場した。

「ザ・握力」

中央にあるレバーを力いっぱい握るだけという思考力を問わない簡素な構造。己の肉体をこれでもかと見せつけるパンプ感あるキャラクター。

僕のパンプ効果を測るにはぴったりの存在だと感じた。

そうだ。力を測るうえで何もバッティングである必要はない。

すっかりこの「ザ・握力」に魅了された僕はコインを入れ、画面の指示通り力いっぱいレバーを握った。

見ろ これが僕のパンプだ!!

47kg

あまりにも微妙な結果に僕はしばし唖然とした。

そうか スーパーパンプマックスは普段から鍛練を重ねる者にパワーを授けてくれるのであって、普段からゴロゴロ生活をしている者を一瞬で強くするサプリメントではないのだ。

ゴロゴロ民が飲んだところでせいぜい強くなった気がするだけだ。

ただその一方でスーパーパンプマックスがなかったとしたら、瓦割りに興味を持つこともなかったし、浅草に行くこともなかった。

そして何よりこの記事を書くこともなかっただろう。

僕はスーパーパンプマックスの真の効能はここにあると考える。

自分が普段しないことに挑戦する勇気をくれる。

これこそがスーパーパンプマックスの真の効能なのだ。

スーパーパンプマックス。ぜひ一度お試しあれ。

スーパーパンプマックスの使い方を考える その1

世の中には 漢としての血が滾る言葉がある。

スーパーパンプマックス

話は3月上旬に遡る。

僕は友人のこんりんと共にサウナの聖地「しきじ」を訪れた。

食事→サウナ→電車内うたた寝という至って平和な旅の終わり、彼は衝撃の告白をした。

「俺 薬物中毒なんだよね」

聞くところによると彼は筋肉増強を目指すがあまり、多くのサプリメント摂取に依存した生活を送るようになったという。

そんな彼が必死に購入欲望を抑えているサプリメントがあった。

スーパーパンプマックス

「スーパー」「パンプ」「マックス」強そうな言葉をこれでもかと並べた「ぼくのかんがえたさいきょうサプリメント」的ネーミング。

「パンプ感」という日常生活ではまず目にしないであろう宣伝文句。

どれも僕をスーパーパンプマックスの虜にするに十分な要素であった。

いったいこいつは僕の体にどんな革命を起こしてくれるのか?

効果を知りたきゃ買え。

僕はスーパーパンプマックスを購入した。

購入から1週間ほどたったある日、スーパーパンプマックスは唐突にやってきた。

レッド&ブルーという食品とは思えない毒々しいコントラスト、中央に堂々と鎮座する「スーパーパンプマックス」の文字。

宣伝写真をも上回る圧倒的な存在感だ。

流石「スーパーパンプマックス」期待を裏切らない。

僕はスーパーパンプマックスの素晴らしい容貌に感動し、撮影を繰り返した。

「さてこいつをどう使おうか」

「スーパーパンプマックス」を使用したトレーニーによると、スーパーパンプマックスには以下のような効果があるようだった。

スーパーパンプマックスの効能は?

・超パンプするぜ!

・集中力があっぷして筋トレしまくれるぜ!

・筋肉痛と疲労もなくなるぜ!

・いやっほぉぉぉ!

彼はトレーニング前に飲むことを推奨していたが、僕はあいにく トレーニーでもなんでもないただのはいぐ~だ。

トレーニング前に使うという概念は存在しない。

それよりもこれだけ素晴らしい効能がある「スーパーパンプマックス」をトレーニングだけにしか使わないというのは脳筋にもほどがある。

トレーニング以外にも何か「スーパーパンプマックス」が役立つ瞬間があるはずだ。

世界中の人々が「スーパーパンプマックス」を愛飲する世の中を作るために、「スーパーパンプマックス」の素晴らしい使い方を考案しよう。

まず僕はスーパーパンプマックスの「集中力向上」という効果に注目した。

「集中力向上」はパワーだけではなくインテリジェンスにも応用できるのではないか。

短い時間で次々と問題が現れる性質ゆえに、多くの集中力を必要とするWEBテスト。

その難しさゆえに悩める就活生も多いはずだ。

「スーパーパンプマックス」によって集中力が高まり、WEBテストで力を発揮できるなら、就活生にとって「スーパーパンプマックス」は欠かせないものになるはずだ。

僕はまずWEBテスト前に「スーパーパンプマックス」を飲むことにした。

聞くところによると「スーパーパンプマックス」はトレーニング30分前に最も力を発揮するらしい。

僕は推奨通りWEBテスト30分前に「スーパーパンプマックス」を飲んだ。

味はグレープフルーツの苦みだけを濃縮したような味で口が裂けても、美味しいとは言えない。

しかし効果さえあれば美味しさなど関係ないことは既にプロテインが証明している。

大事なのは効果だ。

飲んでから10分ほどで僕の体に変化が現れ始めた。

「心臓のパンプが速い」

凄まじい心臓の鼓動。ここまでパンプしているのは「人妻パラダイス」前にマムシドリンクを飲んで以来だ。

心臓のパンプが上がるにつれて、やる気のパンプも上がってきた。

WEBテストやりたい WEBテストやりたい 

人生でこれほどWEBテストを受けたくなったのは初めてだろう。

なんだか今なら凄い点数がとれる気がする。

僕は30分をも待たずに、自室の机に飛び乗り、WEBテストを開始した。

しかしテスト開始直後、重大な欠陥に気づいた。

「思考がまとまらない」

「スーパーパンプマックス」の効果により、心臓とやる気のパンプは大いに高まったが、その代償に思考力のパンプが大いに下がってしまった。

文章の内容が全く頭に入ってこないし、メモをとる量は増えたが、内容は支離滅裂だった。

唯一効果があるとすれば、クリック力が上がり、確実に選択肢をクリックできるようになったぐらいだろう。

「スーパーパンプマックス」が高めた集中力は思考力を犠牲にして成り立っていたのだ。

思考力を問う課題に「スーパーパンプマックス」は向かない。

では「スーパーパンプマックス」に向いている課題とは何か?

続く

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