「ゴーゴーバーに行く男は地獄に落ちる。ゴーゴーボーイズに行く男は天へも昇る。」

「ゴーゴーバーに行くような男はいつか地獄に落ちる。」https://lifework-freedom.com/?p=5703

これは僕がタイにタイ在中、偶然見つけた某ブロガーの一言である。

この時まだ僕は彼がこの言葉を通じて伝えたかったことが何なのか知る由もなかった。

「風俗といったらパタヤだろ」

そんな性に飢えた超獣しゃおじょんの猿の一声によって、僕らはタイに到着後、すぐに首都バンコクから南へ160km離れたパタヤへ向かっていた。

僕もタイに来て初めて知ったのだが、

パタヤは多くの風俗店やナイトクラブが乱立し「アジア最大の歓楽街」「男の楽園」といった異名を持つ巨大都市ならしい。

そんな大歓楽街パタヤであるが、昼の街並みは静かな飲食店が数店営業している程度で、人も少なく至って普通だった。

「旅行サイトで騒ぎ立てられていた観光地が実際行ってみると、案外しょぼかった」なんてことはよくあることだし、

僕もこの時はパタヤもこのいわゆる「ガッカリ観光地」みたいなものだと考えていた。

しかし夜になると パタヤは姿を変えた。

街は人で溢れ、昼に閉まっていた店はネオンを照らし、店の前では際どい格好した女が、道行く全ての男たちに声をかけていた。

僕は完全にビビっていた。

僕にとっての歓楽街経験はせいぜい日本の歌舞伎町くらいだ。

歌舞伎町のキャッチは声はかけてくるものも、断ればすぐに諦める。

しかしパタヤのキャッチは違う。彼女たちは僕らが何度断っても、言葉が分からないふりをして食い下がり、しまいには無理やり腕をつかんで強引に店へ引きずり込もうとする。

恐ろしい。流石「アジア最大の歓楽街」と言われるだけはある。

今回は4人で旅行をしていたのだが、本ブログ初登場のずおたんこんりんもおおむね僕と同じような反応をしていた。

しかしそんな僕たちを尻目に1人先頭を切って歓楽街を突き進む男がいた。

しゃおじょんだ。

彼は予め有名なゴーゴーバー(持ち帰り可能なキャバクラ)を調べ、その情報を頭にいれ、普段は決して開くことのないGoogleマップを開き堂々と街を突き進んでいった。

その姿はまるで逃げ惑うヘブライ人奴隷を引き連れて海を渡った聖人モーセの様だった。

戸惑う僕らはこのモーセに引き連れられて、パタヤで一番有名なゴーゴーバーである「BAKARA」へ入った。

入った瞬間、いきなり衝撃の光景が目に飛び込んできた。

なんといきなり上半身を露出した嬢たちが、ステージで踊っていたのだ。

(写真撮影禁止だったので、店内イメージです。)

そしてすぐにボーイが僕たちの元に駆け寄り国籍を聞いてきた。

僕らが日本人であると答えると、奥の席に案内された。

席に座るとすぐに、日本語が話せるらしい嬢たちが僕らのもとにやって来て、飲み物を頼むようそそのかしてきた。

訳もわからず言われるがままに、飲み物を頼むとすぐに飲み物と共に大量の伝票が僕の目の前に置かれた。

この伝票は後に僕の気分を大いに憂鬱にさせた。

そして飲み物を頼むと、嬢との会話が始まった。

会話とはいっても「何歳?」「出身は?」「彼女はいる?」といった初歩的な問答ばかりで全く面白くない。

途中この流れを変えようと、僕は唐突に「自分はホモビデオに出たことがある」と語り、

その写真を見せたが、嬢はドン引きした様子を見せ、ますます会話は失くなり、しまいには「トイレに行く」といって帰ってこなくなってしまった。

ふと隣をみるとさっきあれほど勇敢な姿を見せたしゃおじょんが両脇に嬢を侍らせ、

鼻の穴を全開にして隣にいた ずおたんに何度も「4Pしよ 4Pしよ」と声を荒げていた。

今回のメンバーのうち、僕としゃおじょん以外の2人は彼女持ちだ。

元々 ゴーゴーバーに行くことですら渋がっていた彼らがそんな誘いに乗るはずがない。

しかしそんな彼らの気分などお構い無しに、しゃおじょんは嬢を両脇に抱え、4Pの交渉に励んでいた。

もはや彼はモーセでもなんでもない。

ただの性欲に支配された猿 「さるじょん」だ。https://bicinemas.com/

彼が交渉を行い、嬢と盛り上がるたびに、僕の目の前に伝票が刺されていく。

少し中身を見るとそこには恐ろしい金額が書かれていた。

ただでさえ友達のそういった姿に、気が滅入っているのに、後の精算まで意識させられ、僕の気持ちは完全に「限り無く漆黒に近いブルー」となっていた。

ずおたんこんりんも不貞行為をしてしまいそうになった葛藤からブルーな雰囲気を漂わせていた。

そんな僕たちを尻目にさるじょんは近くにいた別の日本人に声をかけ、「4P」交渉をまとめあげていた。

彼のあくなき「4P」への執念がこの結果を生んだのであろう。

こういう時の彼のコミュ力は凄まじい。 

性欲は本当に人を強くするのかもしれない。

こうして残されてしまった僕ら3人はもはや羽目を外す気分でもなくなってしまったので、法外な額を払い、店を出た。

街はまだ眠る気配もなく、相変わらずネオンとキャッチがきらめいていた。

しかし僕らはもはやそんな誘惑を目に留める余裕すらなく、鬱屈とした気分で帰路についていた。

「このまま終わっていいのか」

ふと僕の中にこんな感情が沸いてきた。

「おそらく一生に一度しか訪れることのないパタヤで嫌な思い出ばかり残して帰っていいのか」

「女でブルーになった気持ちは男でレインボーにしよう」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B0_(LGBT)

僕はパタヤにゴーゴーバーの男版「ゴーゴーボーイズ」があるのを思い出した。

僕は2人に「ブルーな気持ちをレインボーにしようぜ」と言って、ゴーゴーボーイズに誘い出した。

こちらもゴーゴーバーと同じく、店に入るとすぐに支配人が寄ってきて、席に案内した後、僕らに男をあてがった。

(撮影NGだったのでイメージです。)

そして中央には写真のようなステージが置かれ、筋肉隆々とした男たちが並んでいた。

僕の元にはカンボジア出身の男がやって来た。彼はとても落ち着いた雰囲気で、僕のブルーだった気持ちを少しずつレインボーに近づけてくれた。

この時、僕は確実に自分がゲイへと傾きつつあるという事実を痛感した。

しばらく彼と話していると、何やら支配人が僕たちの方とステージを交互に指差している。

どうやら僕らにステージへ上がって欲しいとのことだ。

しかしもちろん客は僕たちだけではないし、僕たちは踊りの経験も屈強な筋肉もない。

ただ僕はこの時、漆黒のブルーへ変わった気持ちをレインボーにするためにはこのステージに上がるしかないと思った。

もう迷いはない。

僕たちは意を決して、ステージへ上がろうとした。

すると今度は支配人が「ステージに上がるなら服を脱げ」と言わんばかりに、僕たちの服を指差した。

もうどうにでもなれ。

僕はステージにいる男たちと同じように、パンツ一丁になった。

同じくステージに上がったこんりんも服を脱いでいた。

「何を踊ろうか。」

店には大音量のクラブミュージックがかかっていた。

クラブミュージック…台湾!

僕は台湾でふくよかな白人女性と踊った、「お尻を突き出して振り続ける」という謎のダンスを思い出した。

僕はすぐさまこんりんと共に客席へ向かってお尻を振り始めた。

すると客席は大いに盛り上がり、味をしめた支配人は僕にパンツを脱ぐように指示した。

もはや恥なんてものはない。

僕は指示通りにパンツを半分脱ぎ、自慢のお尻を見せつけた。

会場はその日一番の盛り上がりを見せ、ステージにいた男たちもケラケラ笑っていた。

僕は台湾でこの踊りをした後、とてもブルーな気持ちになっていた。

そんな踊りが2ヶ月後、タイで大いに役立つとは当時 夢にも思わなかった。

明らかに点と点が結ばれた瞬間だった。

僕はこの時、自分の気持ちが完全にレインボーになったのを確信した。

本当は動画があれば良かったのだが、唯一ステージに上がらなかったずおたんが動画を撮ろうとしたところ、注意されてしまったらしい。

締めるべきところは締める。

尻の締まりを重視するゲイらしい対応だ。

同じくゴーゴーボーイズに訪れたこんりんずおたんも僕と同じようにレインボーな気持ちになっているようだった。

しかもこれだけ僕たちをレインボーにさせてくれたのにも関わらず、ゴーゴーボーイズの値段はゴーゴーバーの時の半分以下。

本当に天へも昇れるような気分だった。

僕は今後、パタヤでおすすめのスポットを聞かれたら迷わずこのゴーゴーボーイズを答えるだろう。

聞くところによると、ゴーゴーバーの女を持ち帰ったさるじょんは4Pが出来なかったあげく、法外な額を請求され、さらには謎の病気によって以後2日間、腹を壊したらしい。

やはり冒頭にあった「ゴーゴーバーに行くような男はいつか地獄に落ちる」という言葉は正しかったようだ。

しかし僕は今回この言葉に少し書き加えたい。

「ゴーゴーバーに行くような男は地獄に落ちる。ゴーゴーボーイズに行くような男は天へも昇る。」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。