台湾の遊園地には気をつけろ

僕はいま台湾にいる。

それも以前の中国に行った時のような弾丸旅ではない。

今回は大学主催の3週間に及ぶ語学研修だ。

これまで3泊4日のサークル合宿が

人生で一番家を離れた日数である僕にとって

3週間家を離れ、台湾で過ごすのは完全に狂気の沙汰だ。

とはいえ実際に研修が始まるのは3/1だ。

しかし語学研修という名の通り、

研修が始まってからは、

日中は主に大学で授業を受ける

という生活になることが予想され、

せっかくの台湾であまり自由に行動できないかもしれない。

そこで僕はしゃおじょんと共に3日前から台湾に入り、

研修前の3日間で、台湾を満喫することにした。

先日台湾に到着した僕らは

しゃおじょんの友人で台湾留学中のエドに連れられ、

台北の夜市を思う存分楽しんだ。

そして次の日はエドと別れ、

台北観光の術を失った僕たちは、

台北を諦め台中に向かうことにした。

宿で台中の観光スポットを探していると、

自称高所恐怖症のしゃおじょんが急に

「おい 台中にはグラビティマックスっていう世界で5本の指に入るほど怖いジェットコースターがある。行くぞ」

と言い出した。

僕は一時期2ヶ月に1回は

必ず富士急ハイランドに行っていたほど

ジェットコースターが好きなので、

台湾にとても怖いジェットコースターが

あると聞いて舞い上がり、

ウキウキでそのジェットコースターを調べた。


ショボい

明らかにショボい

最高高度35m (富士急ハイランドのええじゃないかは76m)

もさることながら

グラビティマックス最大の売りである

途中でレールが消えるというイベントも、

紹介サイトにあった動画で

ネタバレされてしまっていたため、

なぜこのサイトではグラビティマックスが

ええじゃないかと同列に語られているのか

全く分からなかった。

そして台中駅からバスで1時間30分という悪立地

このサイトを書いたのは

恐らく台中出身の台湾人に違いない。

歪んだ愛国心もほどほどにしてくれ。

僕はせっかく人生で始めて台中に行くのに

ショボいジェットコースターに

乗って1日を潰すのは最悪なので、

僕は恐る恐るしゃおじょんに

「グラビティマックスはあまりおもしろくはないんじゃないか」

という旨の発言をした。

すると彼は怒りをあらわにして

「行ってみなきゃわかんねーだろ。行く前から決めつけんな」と指摘した。

こうなったらもう誰も彼を止められない。

彼は僕の研修中のルームメイトなので、

3週間共同生活を送ることになる。

まだまだ彼と絶縁するわけにはいかないので、

僕は仕方なく

「とりあえず台中に行ってから考えよう」と話を先延ばしにした。

そして僕は当日予定通り台中に向かった。

僕はいまだにグラビティマックスに乗る気がなかったので、

バスの社内で必死に

しゃおじょんの気をそらせそうな

スポットを探していた。

横浜のコスモワールドで

満足していたしゃおじょんのことだ

台中駅に近い適当な遊園地を提案すれば

すぐにグラビティマックスのことなど忘れるだろう。

血眼になってマップを見続けること数十分。

僕はついに最適な場所を見つけてしまった。

「遊園地 黃金堡親子樂園 」

グーグルマップに光輝く遊園地の三文字。

台中駅から徒歩数分という最高の立地。

これしかない。

この遊園地なら間違いなく

しゃおじょんの欲を満たし、

辺境の地にある遊園地に行かなくてもすむ。

僕は台中駅に着くと、

しゃおじょんをこの遊園地に連れていくことに決めた。

そしてバスに揺られること2時間。

僕たちはついに台中駅に着いた。

広がる一面の繁華街。

「こんなところに本当に遊園地があるのか」

僕は到着後すぐに若干の違和感を覚えた。

「まあコスモワールドも都会のど真ん中にあるし」

当初この程度に考えていた僕も

あまりにも変わらない風景に対して

遊園地に近づくつれに

強い違和感を抱くようになっていった。

そしてついに指定された場所に到着した。

「違う。明らかに違う。」

これはどうみても遊園地ではない。

まず外にアトラクションがないし、

遊んでいる人も見当たらない。

僕はこの時点で全てを察していたが、

しゃおじょんの「行ってみなきゃわかんねーだろ」

という言葉を思い出して、

僕は勇気を振り絞って中に入った。

僕 「我想在这儿游戏 私はここで遊戯がしたい。」

店員 「你是几岁~(よく聞き取れなかった。 )  何歳ですか? 」

僕  「我是二十岁 僕は20歳」

店員  「带小孩子吗 小さい子どもを連れていますか?」

僕 「不带 連れていない。」

この不毛なやり取りの後、

店員はやんわりと指を外に指し、

僕に「ここはお前の居場所ではない」と伝えた。

こうして僕の企みは脆くとも崩れ去った。

PS その後に元々行く予定だった遊園地に行き、

グラビティマックスを楽しみましたとさ。

グラビティマックス ↑

めでたし めでたし

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