リオンドール

「グルメ」

旅行を楽しむ要素の一つとしてグルメはとても重要である。

高額な旅行先の名物に舌鼓を打つことは、

旅行の醍醐味とされ、

旅行雑誌や旅行サイトではご当地グルメと称して、

様々な食べ物を紹介している。



僕もこれまではこの思想に洗脳され、

沖縄に行った時はソーキそば、

北海道に行ったときは海鮮丼といった具合で

その土地の名物をなんとなく平らげていた。

もちろんこれらの名物は美味しかったし、

食べたこと自体は全く後悔していない。

しかし僕は今回の旅行で少し

「旅行ではその土地の名物を食べる」という定石に疑問を抱いた。

というのも今回の旅行先は日光だった。

僕は日光に着いた直後はこれまで通り

日光名物を食べようと思っていた。

どうやら日光名物は「ゆば」という得たいの知れない食べ物らしい。

街中には「ゆば」をアピールする店が多く立ち並んでいた。

僕は正直気が乗らなかったが、

「ゆば」を食べないと日光に行った

と見なされないのではないかという強迫観念に駆られ、

「ゆば」の店に行くことを提案した。

しかしここでしゃおじょんが目の前にスーパー リオンドールがあるのを見つけ、

「たけー店行くならスーパーで食おうぜ。」

と言い出した。

せっかく旅行に来ているのになんて風情の無い奴なんだ。

世が世なら無粋もんとしてすぐに下放されていただろう。

まだ到着直後だし、この先も名物を食べる機会はあるだろうと

この時はしぶしぶリオンドールに向かうことにした。



リオンドールでは適当に焼き鳥やコロッケといった惣菜を買った。

僕の家ではしばしばこうした惣菜が食卓に並ぶ。

そしてその度に僕は心のなかで「また惣菜」かと落胆していた。

今回買った惣菜も見た目は、

普段僕の家の食卓に並ぶものと変わりはなく、

たいして味には期待していなかった。

しかし一口惣菜を口にした瞬間、

衝撃が走った。

「うまい」

なんだこの味は

もはや惣菜ではない。

この焼き鳥がミシュランガイドに載っていると言われても

僕は全く疑わないだろう。

焼き鳥だけでなくコロッケ、から揚げ、

ひいてはカップラーメンまで、

全ての食べ物が最高にうまかった。

こうして惣菜の虜となった僕は

旅行中一度も飲食店に入ることなく、

全てリオンドールとコンビニで食事をとった。

大満足だった。



まさか日光名物を一度も食べずに、

これだけ満足できるとは思わなかった。

そしてここで僕の中で一つの仮説が立った。

「旅行で食べるものは何でも美味しく感じるのではないか」

旅行をするだけで少なからず気分が舞い上がる。

この舞い上がった状態で食事をとると、

いつもの食事が数倍美味しく感じるのだ。

先ほど述べた惣菜だって家で食べたら、

全く美味しいとは思わないだろう。

旅行の雰囲気というのはとても大切なのだ。

つまり旅行中に無理をして高額な名物を食べる必要はない。

時にはカップラーメンや惣菜を食べ続ける旅行があってもいいと僕は思う。

ありがとう。スーパー リオンドール



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。