足を使わない移動方法にまつわるエトセトラ

人類は歩きすぎだ。

丸1日飯を抜くやつや風呂に入らないやつはいるが、丸1日歩かないやつはほぼいない。

人類は2足歩行動物だと言われれば、それまでだ。

しかしあまりにもこの通説にとらわれすぎなのではないだろうか?

歩行以外にも人類はまだ画期的な移動方法を秘めているのではないか?

僕は歩行歴が19年目に達し、歩くことに強い飽きを感じてきていた。

なので歩行以外の移動方法を開発し、交通革命を起こすことにした。

まず僕が思いついたのは下り坂で、爆発的なスピードを出すことができ、歩行の弱点である遅さを解決することができる転がり
(通称コロコロ)だった。

思い立ったが吉日。

僕は早速キャンパスの坂を利用してコロコロに挑戦することにした。詳細は↓まで

結論からいうと失敗だった。

確かに瞬間的なスピードは歩行を上回ったが、瞬間的な目のコロコロも歩行を上回ってしまったため、終わった瞬間すぐに大学のベンチにゴロゴロしてしまった。

これでコロコロは失敗した。

革命を起こすといった手前、簡単には引き下がれない僕はベッドでコロコロしながら、新しい移動方法を考えた。

しかし頭のコロコロだけは止まってしまい、何も浮かんでこなくなってしまった。

そんななかある衝撃的な映像が僕の目に飛び込んできた。

なんと女子駅伝の選手が膝に血糊を塗りたくりながら、ハイハイをしてゴールを目指していたのである。

その距離約200m。

走ることを専門にしている陸上選手が走りを捨ててまで、取り組むハイハイとはいったい何者なのか?

僕は生後まもなく以来19年ぶりの強烈なハイハイ欲に襲われた。

そして穴八幡宮から戸山公園までの200mハイハイに挑戦することにした。

痛い 開始わずか5mで膝に鈍痛が歩いた。

見ると膝が腫れていた。

ここで僕は大きな見落としに気づいた。

あの駅伝選手の膝についていたのは血糊ではなく本物の血であると。

彼女は血だらけになりながらハイハイしていたのである。

ここで痛みに負けるというのは、彼女の根性への冒涜だ。

僕は必死に手を動かした。

途中何度も「大丈夫か」と声をかけられた。

気づかいはとてもうれしいが、頭のことを聞いてるのか、膝のことを聞いてるのかわからなかった。

とりあえず膝は大丈夫だったので「大丈夫だ」と答えた。

すると頭のことを聞いてるのだとでも言いたげな困り顔で去っていった。

どっちなのかはっきりしてほしい。

そんなこんなで200mハイハイしきった頃には膝は見たことないほど真っ赤に腫れていた。

後から調べてみると彼女はすねの骨を折っていてまともに立つこともできてなかったとのこと。

そんななかで襷をつなぐというただ一つの目標のためにハイハイに手を出したのである。

途中何度も立ち上がって休んだ僕に比べるとあまりにも強すぎる。

歩行を捨てるにはそれだけの強さと覚悟が必要なのである。

僕にはまだ早すぎた。

いつか強くなってもう一度脱歩行に挑戦したい。



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