実録 ハッテン場の実態を追え ~テルマー湯に潜む怪~

みなさんはテルマー湯という施設の存在を知っているだろうか?

2015年8月のオープン以来「都会の中心で五感を潤す」をコンセプトに欲望の街、新宿歌舞伎町に訪れた人々の癒しの場として親しまれてきたスパリゾートだ。http://thermae-yu.jp/

終電を逃したサラリーマン、仕事終わりのキャバクラ嬢、はたまた旅行中の外国人。

テルマー湯に訪れる人種は実に豊富である。

そんな誰からも愛される安らぎの場であるテルマー湯だが、例の如くある奇妙な噂が流れている。

そう ハッテン場だ。

このテルマー湯も前回潜入した戸山公園と同じく「テルマー湯 ハッテン場」と検索すると多くの掲示板が乱立している。

しかし最初にも述べたようにテルマー湯はあくまで一般人向けのスパリゾートであり、テルマー湯に訪れる人の全てがゲイという訳ではない。

また多くの人が訪れるスパリゾートのため、戸山公園のような人気の少ない個室もない。

「彼らはどのようにして行為に及ぶのか?」

こうして僕はテルマー湯への潜入を決めた。

そして前回の潜入から一週間がたった7月18日木曜日 僕の潜入は決行された。

僕はまず掲示板で「彼ら」が多く出没すると言われていた午前0時前後に入浴を行うため、午後11時にテルマー湯の前に訪れた。

そしてこのテルマー湯の前で僕の潜入に興味を持ち参加を申し出た篠塚康介氏と落ち合いテルマー湯に入館した。

この日は激しい雨が降っていて、お互いにかなり濡れていたということもあり、僕達はとりあえず風呂に入ろうということになり、大浴場へ向かった。

大浴場の入口 とても「彼ら」の潜む場とは思えない

僕たちは入浴前これからハッテン場に潜入するという緊張から妙にソワソワしてお互いの体を触りあっていた。

大浴場は大きな浴槽が1つに小さな浴槽がいくつも存在するという至って普通の作りをしていた。

にも関わらずそこがハッテン場であると意識しただけで不思議と入浴している人が全て「彼ら」に見えて落ち着くことができなかった。

僕たちは体を洗った後、いくつかの浴槽を回った。途中50代ほどの小太りな白人男性に数秒見つめられることもあったが、特に何も起こらず僕たちは最初の入浴を終えた。

正直かなりガッカリした。

確かに僕たちを見つめてきた白人男性はゲイであったかもしれないが、普通の銭湯にも隠しているだけでおそらくゲイの人はいるだろう。

僕が今回期待していたのはハッテンに及ぶ「彼ら」の姿である。

しょせんはただのスパリゾートか。

僕はテルマー湯に泊まるために払った4000円が惜しく感じるようになっていた。

篠塚氏も僕と同様にガッカリした様子で「喉が痛いから寝る」と言って足早に休憩室へと消えていってしまった。

僕も寝ようかな。

僕は時間を確認した。

時間は午前0時を少し過ぎたころだった。

僕の脳裏に午前0時を過ぎた頃が一番盛り上がるという掲示板の情報が浮かんだ。

「寝るのはまだ早いしまあ行ってみるか」

僕はそんな軽い気持ちで2度目の入浴へ向かった。

僕が脱衣場で着替えていると最初の入浴時に僕のほうを見てきた白人男性に偶然遭遇した。

彼は明らかに服を着て入浴を終えようとしている様子であったが、僕のことを見た瞬間彼は急に服を脱ぎ始め再び大浴場へと消えていった。

「きたか」

1度目の入浴で何も起こらなかったことですっかり油断していた僕もここが改めてハッテン場であるということを意識せざる負えなかった。

僕は大浴場に入るとすぐに湯船が白く濁っていて下が見えないシルク風呂に浸かって彼のことを待った。

しかしどれほど待っても彼は来ない。

そのうちに僕はのぼせてしまい、別の風呂へと移動した。

その後僕は少し浸かってはのぼせという流れで小さな浴槽を移動し続けていた。

彼への期待は僕の度重なる移動が少しずつ打ち消していた。 

こうして移動を重ねるうちに僕はある奇妙な点に気がついた。

その時大浴場には僕のほかに10人ほどの男たちがいた。その多くは僕のように移動することなく、1つの浴槽で大半の時間を過ごしていた。

しかしその中でただ1人だけ僕と同じ移動ルートをとる男がいた。

その男は白人男性ではなかった。

その男はメガネをかけた中肉中背で30代ぐらいの男だった。

彼は僕がシルク風呂に移動するとシルク風呂、ジェット風呂に移動すると隣のジェット風呂という要領で僕と全く同じルートで移動した。

最初僕は偶然だろうと思ってあまり気にしていなかった。しかし僕が数十秒で移動した際にもすぐに彼も僕と同じルートで移動したのを確認し、徐々に自信を深めていった。

僕はこの自信を確信に変えるためにある賭けにでることにした。

テルマー湯には大浴槽の他に6つの小浴槽がある。

先ほど名前のあったシルク湯やジェット風呂は屋内風呂である。

この小浴槽の中で唯一屋外にあるのが寝転び湯だ。

寝転び湯はこの写真で若干わかるように四方を仕切りで囲われており、外から中の様子が見えにくい仕組みとなっている。

僕は屋内風呂を行き来していた流れで、急にこの寝転び湯に移動した時に、彼もまた寝転び湯に移動してきたなら完全に彼はクロなのではないかと考えた。

僕はすぐさま行動に移し、寝転び湯へ寝転びに行った。

僕が寝転ぶこと数分、すでに見慣れてしまった彼の影が現れた。

「ビンゴ」

僕は驚きと困惑の感情を必死に隠しただただ目を仰向けで寝転んでいた。

案の定彼もまた僕の隣で寝転んだ。

この時4つある寝転び台のうち3つが埋まっていた。

彼は明らかにもう1人の入浴客がいなくなるのを待っているようだった。

そしてもう1人の客がいなくなり、寝転び湯に僕たちだけが取り残された次の瞬間、

僕は自分の手に何かが触れたことに気づいた。

それが彼の手であるということに気づくまでにそれほど多くの時間はかからなかった。

彼は僕が嫌がる素振りを見せないとみるとさらに僕の手を強く握りしめた。

それから何分がたったころだろうか。

僕は遠くの屋内風呂の方から施設のスタッフが近づいて来ているのに気づいた。

僕は慌てて彼の手をほどき、少しのぼせ気味であったこともありすぐに寝転び湯を出て近くのベンチに座った。

急に僕に手をほどかれて驚き気味の彼だったがすぐにスタッフたちの姿に気づき、納得した様子で寝転び湯を出て、何も言わず僕の隣に座った。

僕らは互いに言葉を交わすこともなくベンチに座り込んでいた。

やがて気まずさに耐えられなくなった僕は白く濁っていて下が見えないため絡みに向いているシルク風呂に向かった。

そして湯船に着くとすぐに彼の方を見て彼を誘った。

すると彼は満足気な様子でシルク風呂の方へ歩を進めた。

次の瞬間だった。

どこからともなく最初に会ったあの白人男性が僕の目の前に現れた。

この男は僕と目が合うと今度はまっすぐ僕の方へ歩みを進め、シルク風呂に浸かるとすぐさま僕の真横に陣取った。

寝転び湯で手を繋いだ彼はこの白人のあまりに急な行動に呆気にとられシルク風呂を素通りし、隣の風呂で僕たちの様子を伺うほかなかった。

僕との「特等席」を手にいれたこの白人男性はここぞとばかりにシルク風呂の特性を活かして太もも、玉袋、局部の順で僕の下半身を撫で回した。

こうして僕は人生で初めて「痴漢」を経験した。

よく痴漢を経験した人は「声が出ないほど怖い」といったネガティブな感情を口にするが、僕の場合は違った。

僕はこの白人男性に触られている時、純粋に彼に「楽しんで欲しい」と思った。

遠い異国の地からはるばるやって来てやっと見つけた僕の局部がどれだけ撫でてもいっこうに立たなかったら彼はどう思うだろうか。

僕は彼に少しでも日本で良い思い出を作って欲しいと思ってひたすら自分の局部を立たせようと試みた。

シルク風呂のうだるような熱さとスパリゾートという特殊な環境で粘ること数分、僕のちんこは見事に立ち上がった。

彼は見事に立ち上がった僕の局部を見て満足気な様子でこう言った。

「アツイネ」

これが何を意味する言葉なのかは僕には分からない。

ただ僕が分かるのはこの言葉を言った後、彼が僕の元を離れたということだけだ。

役割を終えた僕もまた反り立った局部と共にシルク風呂を後にした。

隣の浴槽から羨望の眼差しを受けているような気がした。

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