ヒッチハイクのヒッチはひっかけるという意味。
ハイクはハイキングのハイク
この事実はヒッチハイク=車という僕の固定観念を完膚なきまでに轢き殺した。
つまりヒッチハイクは何の乗り物でしても良いのである。
三輪車 車椅子 セグウェイ この世は乗り物で溢れている。
いったい何の乗り物でヒッチハイクをしようか。
そう胸を踊らせながら街の乗り物を眺めていた。
するとある乗り物に広大なヒッチスペースがあることを発見した。
ママバイシクルの後ろだ。
乗れる。そう確信した僕はヒッチバイシクルに挑戦することにした。
「自転車専門のヒッチハイクをしているのですが、よかったら後ろに乗せていただけないでしょうか?」
前回と同じく西早稲田駅前で片っ端からヒッチしてると、早速二人目でヒッチに成功した。
彼は「西早稲田キャンパスまでだけど」と言いながら唖然とした表情で快諾してくれた。
意気揚々と彼の後ろに乗ろうとしたその時、
「防犯登録の確認よろしいですか?」
突然背後から国家権力が表れた。
奴は防犯登録と言って僕たちに近づいてきた。
しかし、防犯登録は自転車の後ろ側にあるため、後ろの人間は必ず降りなければならない。
このことを考慮すれば、奴が防犯登録という名目でヒッチバイシクルを取り締まろうとしたのは言うまでもない。
奴らはこの画期的な移動方法が拡大することによって、自動車の使用者が減り、
奴らの主要産業である自動車産業が衰退することを恐れたのだ。
つまりこの取り締まりは国家権力による陰謀なのである。
僕はこうしてあえなく権力に破れた。
そして 終電の時間も近づいていた。
もう諦めて帰ろうと改札へ向かっていた。
そんな中、頭のなかにはヒッチバイシクルを思いついたときのワクワクが唐突に浮かんできた。
いくら国家権力であっても個人のワクワクまで奪っていいはずがない。
僕はワクワクを生き甲斐にして生きている。
ワクワクを捨てることはすなわち死を意味する。
奪われたならまた作り出せばいい。
ワクワクは永久器官。
もう一度ヒッチバイシクルを再開した。
十人ほど声をかけたあたりだろうか。
一人の中国人男性が止まってくれた。
先ほどの構文を使い、彼に話しかけた。
しかしどうやら意味がわかっていない様子。
そこで僕は思いきって正直に「自転車に乗りたい!」と語った。
すると彼は「足痛いの?」と心配しながら快く乗せてくれた。
流石の国家権力もこの純粋な優しさにはお手上げだっただろう。
p>ワクワクが国家権力に勝ったのである。
僕はこのワクワクという最高権力者を大切にしてこの先も生きていきたい。
あとがき 乗せて頂き本当にありがとうございました。
自転車の2人乗りは,原則的に違法となります。(道交法57条2項)
絶対に真似しないでください。