ハプニングを引き寄せろ

僕はこれまで様々なコスプレに挑戦してきた。

その中にはクオリティが低く、

客観的に見れば面白くないコスプレもたくさんあった。

鋼のメンタルを持ってると思われがちな

僕でも自分が体を張って実行したコスプレが

何度もスベってしまえばなかなか厳しいものがある。

なぜ僕はコスプレを続けることができていたのだろうか?

答えは当たり前過ぎて思いつかないようなところにあった。

先日 僕は友人と共にいつもと同じように

バイト先でお酒を飲んでいた。

その時 友人の一人がふとこんなことを言った。

「俺たちは誰か受け入れてくれる人がいると無茶なことができる。」

僕はこの言葉に衝撃を受けた。

確かに僕がコスプレをやっていた日は

ほとんどの場合しゃおじょんなどの

普段大学で仲良くするメンバーと会っていた。

彼らはとても優しい奴らなので、

コスプレのクオリティに関係なく、

一定の反応をしてくれていた。

当時はたまたま授業のある日は

必ずどこかしらで授業が

かぶっていたというのもあるが、

「彼らの反応がある」という安心感に

甘えていたという部分があったということは

否定できない。

そこで 僕はいままで自分ができていなかったことに挑戦するという意味で、

彼らに一度も会わない日に、

知り合いが一人もいない講義中、

コスプレをすることに決めた。

コスプレの内容はもちろん…

進撃の巨人の超大型巨人だ。

春休みに次のコスプレをアマゾンで探していた時、

僕はこいつの圧倒的な存在感に一目惚れした。

これまではどんなタイミングであれ、

僕が教室に入った瞬間、

僕のサクラしゃおじょんがゲラゲラ笑っていた。

しかし今日 しゃおじょんはいない。

入るタイミングを間違えれば、

盛大にスベることもありうる。

これまで無意識にサクラがいるところでのみ

コスプレを行うことでスベり知らずを

実現してきた僕はスベり倒した時に

どのような感情が沸き上がるのかはわからない。

僕はある戦略を考え出した。

今回 僕が参加する講義は200人ほどが入る中教室で、

ドアが教室の前面のみにあり、

遅刻した者がドアを開けると

それなりの音がしてみんなの注目が集まる。

僕はこの特性を逆手にとって

あえて遅刻してみんなの注目を一気に集めることに決めた。

こうして万全の戦略を定めた僕は、

いままでとは違った緊張感を覚えながら、

教室に入った。

僕が教室に入った瞬間、

狙い通りその場にいた全員の視線が

僕のもとに集中した。

そして彼らはまるで原作に登場する市民たちのように

突如現れた超大型巨人になす術なく、

薄ら笑いを浮かべていた。

僕のモットーはできるだけ他人に迷惑をかけないだ。

もちろん超大型巨人の登場に関係なく講義は続く。

なにかパフォーマンスをして邪魔をすることはあってはならない。

僕はいつも通り 空いてることを信じて後ろの席に向かって歩き始めた。

しかしここで僕のなかで一つ誤算が生じていた。

「前が見えない」

写真を見てお分かりの方もいると思うが、

超大型巨人は目に穴が空いていない。

大きい道であれば、なんとなく前が見えるのだが、

机と机の間みたいな小さな道では、

ほとんど視界がきかない。

僕は視界がきかない不安から、

つい早足で通路を通ろうとした。

足下にある超大型バッグたちに気づくこともなく…。

僕は超大型バッグにつまずき、あえなく床に手をついた。

すると これまでの笑ってはいけないという空気から

解放されたような乾いた笑い声があちこちから聞こえた。

僕はこの時一つの真理にたどり着いた。

人が本当におもしろいと思うのは

「ハプニング」だ。

ただ僕がコスプレをしているだけでは、

僕による計算された笑いであり、

その計算がバレてしまえば、

笑いをこらえることもできるが、

僕を含めて誰も予想できなかった

「ハプニング」はこらえようと思わせる前に

勝手に体を反応させる力がある。

このことはこれまで必ず周りに笑ってくれる人がいるという環境にいたら、

絶対に気づかなかったことだ。

ハプニングは起こそうとして起こせるものではない。

しかし何も行動しなければ、

絶対にハプニングは起こらない。

周りに関係なく行動することの大切さがよくわかった今日のコスプレだった。

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